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というわけで、昨日に引き続き、第2弾です。 昨日は幽霊(?)のお話でしたので、今日は少し方向性を変えて……。 ……とはいえ、お話の舞台はやはり電器店です。 2年ほど前のこと。 今度はK地方N県N市にある電器店に派遣となりました。 この店は、1階が生活家電売場、2階がAV、PCの売場で、3階が倉庫になっています。 倉庫には、展示品として使った商品の空箱などが置かれているということでした。 ある日、展示品のテレビを販売したボクは、3階の倉庫に空箱を取りに行くことになりました。 倉庫に行くには、エレベーターを利用します。 2階からエレベーターに乗り、普段は触れないようになっている3階のボタンを押しました。 間もなくエレベーターは3階に到着。静かに扉が開いたのですが……。 目の前に空間はありませんでした。 暗黒の世界……というより、目の前に真っ黒な障害物が立ちはだかっている感じでした。 それと同時に、変な雰囲気……「異世界に迷い込んだかのような感覚」を覚えました。 次の瞬間、ボクは反射的に「コラッ!」と声を発していました。 それに反応したかのように、サッと視界が開け、倉庫内の様子が目に飛び込んできました。 例えるならば、『となりのトトロ』のススワタリ=まっくろくろすけが、ササササッと姿を隠すシーンのような感じです。 あの作品でも語られていたとおり、明るいところから急に暗いところに行くと、目が暗さに慣れないため、すぐには何も見えず、徐々に見えるようになってきます。 これを「暗順応」といい、もちろんボクもそれまでに何度も経験したことのある現象でした。 しかしながら、この店のエレベーター内の照明はそれほど明るいとは言えず、倉庫にも窓は多く、日の光が充分に射し込んでいて、この手の店の倉庫としては結構明るい部類に入ります。 つまり、エレベーター内と倉庫内の明るさにそれほどの差はないということなのです。 それに、周りが見えるようになったのも、ボクが「コラッ!」と声を発するのと同時……、一瞬の出来事でした。 「暗順応」なら、徐々に明るく見えるようになってくるはずなのですが……。 とにかく、まずは売れた展示品のテレビの空箱を探さなければなりません。 とりあえず、目は見えるようになっています。でも、さっき感じた「異世界に迷い込んだかのような感覚」はまだ若干続いています。 空箱を探している間も、倉庫の至る所から「何者かの視線」、気配のようなものを感じていました。 昨日の記事で、K市の店で少年の幽霊の視線を感じたと書きましたが、その時の感じとは少し違いました。 例えるならば、ペットショップに行った時、ショーケース内から「ぼくを買って!」とばかりにこちらを見つめる仔イヌや仔ネコの視線……。 あるいは、もっと近い感じとしては、初めて北海道に行った時、「北きつね牧場」で感じた気配。無数のキツネたちが、遠巻きにボクの様子を窺っていた時の感覚に近いといえるでしょう。 「何か居る」のは間違いない。でも、上記のような感覚から、その「何か」はK市の店のような「幽霊」ではなく、いわゆる「狐狸の類」……「物の怪」、「妖怪」ではないかと感じました。 目指す空箱を探し当て、2階に降りてすぐ、ボクは店長に言いました。 「上の倉庫、何か居るね!?」 すると店長は苦笑しながら……、 「やっぱし……?」 店長の話によると、店の周りの喫茶店やたばこ屋のオーナーから、この店の3階の窓は、絶対に開けないでくれという依頼があるということでした。 その理由は……、 「オバケが出てくるから」 喫茶店やたばこ屋のオーナーは、この店の3階の窓からオバケが出入りしているのを、何度も何度も見ているそうです。 それ故、気持ちが悪いので窓は絶対に開けないで欲しいということでした。 「オバケ」が「幽霊」を指すのか、「物の怪」を指すのかはわかりませんが、もとより一般の人に「幽霊」と「物の怪」の差がわかるかどうか……。 いずれにせよ、やっぱりこの店の3階倉庫にも、「何か」が棲み着いていることは間違いなさそうです。 この店には、以後およそ1年在籍しました。 その間、何度も3階の倉庫に行きました。 最初の時のように「何も見えない」という現象は以後一度もありませんが、行く度に「異世界に迷い込んだかのような感覚」を覚えると同時に、「何者かの視線」を感じていました。 別に何か悪さをするわけではなく、じーっとこちらを見ているだけ……なのですが……。 もちろんボクも何かすることはなく、ヤツらのやりたいようにやらせておくことにしました。 N県N市というと、昨今は頭にシカの角を付けた面妖な僧侶の妖怪(?)が出没することで知られていますが、この店の近くには有名な皇后の陵墓があるなど、どこを掘っても何か出てくると言われるくらい歴史のある場所です。 古くから、人間同士の争い……あるいは人間と自然との葛藤が繰り広げられていたはずです。 この店のあった場所も、かつてはキツネやタヌキの棲み家だったのかもしれません。 そこに彼らの魂が帰ってきて、新しい彼らだけの世界を築いていたとしても、決して不思議ではないでしょう。 たまたまその場所に、後から人間が建物を建てたにすぎないのです。 それ故に、必要以上に怖がるのではなく、この「物の怪たち」との共存を楽しもうと考えたのです。 この店をあとにしたのは去年の10月。 それから半年経った今年の4月、ボクはまたこの店に土日祝限定で派遣されることになりました。 あの「物の怪たち」との再会も、少しは期待していたのですが……。 彼らはもう、そこには居ませんでした……。 3階の倉庫に入っても、「異世界に迷い込んだかのような感覚」や「何者かの視線」を感じることはありませんでした。 店長に聞いてみても、 「よくわからないが、そういえば周りの店からの苦情は、最近ほとんどない」 ということでした。 あの「物の怪たち」はどこへ行ってしまったのでしょうか? 「幽霊」にしても、「物の怪」にしても、土地や人の「気」の流れの変化に合わせて、棲み家を替えることがあるといいます。 彼らもまた、どこかもっと棲み良いところへ移って行ってしまったのでしょうか……。 ホンの少し……寂しい想いを胸に抱きつつ、仕事をしている今日この頃です……。 が……!! ここ数週間、ほんの少しですが、彼らの気配を感じるようになってきました。 彼らが、あの「物の怪たち」が、少しずつ元居た場所に戻ってきているのかもしれません。 他の従業員たちやご近所さんには迷惑かもしれませんが、できればみんな戻ってきて、またあの場所に「異世界」を作り上げて欲しいものです。 そしてたまには、ボクを少しビックリさせたりして楽しませて欲しい……。 やっぱり「物の怪」は、まだ日本の至る所に……居るのです……。 |
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